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生物化学工学研究室

教員

  • 松本 道明 (教授) Michiaki MATSUMOTO
    Researcher Database

    研究分野: 環境適応型の生物分離プロセスの構築 研究室: SC-525
    TEL: 0774-65-6655 FAX: 0774-65-6655
    E-mail: mmatsumo
 

研究内容

 

金属イオンの高度分離技術化

排水中に存在する金属イオンの回収手段として、有機溶媒中にこれらの物質を抽出する溶媒抽出法やイオン交換樹脂に吸着させる方法などが知られています。
当研究室では、有害な有機溶媒の使用量を劇的に削減できるマイクロカプセルに抽出剤を含浸させて、これらの物質の分離回収を行える新技術の開発を目指しています。また、金属イオンをインプリントすることにより、特定の金属に高い選択性を示すメソポーラスシリカの開発を行っています。

 

マイクロカプセルのSEM写真

金属抽出機構の概念図

 

 

キトサンの有効利用と高機能化

キトサンは自然界に豊富に存在するバイオマスポリマーで、金属と反応して安定な化合物を形成する特性を有しています。本研究ではこの特性に着目して、キトサンを吸着材として用いた工業廃水等からの有価金属の分離回収法の開発を目的としています。本法の特徴の一つに、希薄な金属水溶液からでも効率よく金属を回収でき、また有機溶媒を必要としない循環型社会に適合した金属回収法であることが挙げられます。

さらにキトサンは反応性に富んだアミノ基を有するため、容易に種々の官能基を化学修飾することができます。たとえば次に示すような官能基を導入することで、より選択性に優れた金属分離回収プロセスを構築することも可能になります。

 

キトサン ジ(アミドキシム)化キトサン チオフェンカルバルデヒド修飾キトサン
各吸着樹脂の構造

 

動植物由来キチナーゼの分離・精製と機能開発

甲殻類であるエビ、カニ等の外殻の主成分であるキチンを加水分解して得られる、重合度5~7のキチンオリゴ糖には、抗腫瘍活性、免疫賦活活性などの生理機能が見出されており、医薬品、化粧品、食品工業への利用が期待されています。

現在、キチンオリゴ糖は酸による加水分解により造られていますが、任意の重合度を有するオリゴ糖を高収率で分離精製するには、さらに効率的な製造法が望まれています。このようなキチンオリゴ糖の調製法の一つとして、キチン加水分解酵素(キチナーゼ)と糖転移酵素(キチンシンターゼ)がもつ高い酵素反応特異性を組み合わせた方法が注目されています。当研究室では、植物種子由来キチナーゼと菌体由来キチンシンターゼを分離精製し、これらを用いたキチンオリゴ糖調製法の開発を目的として研究を行っています。

 

植物種子由来キチナーゼの精製

 

 

微細藻類を用いた環境技術の開発

近年、化石燃料の非常に急速な燃焼によって、二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)等の排ガスが引き起こす地球環境問題が危惧されています。地球環境問題を緩和する手段として、高CO2濃度下で増殖可能な微細藻類を用いた排ガスの吸収、固定化が考えられています。そこで、緑藻Chlamydomonas reinhardttiを用いたCO2、NO固定の検討や藍藻Anabaena variabilisの有用色素(β‐カロチン、フィコビリン蛋白)生産に及ぼす培養条件の影響を検討しています。また工業排水から金属を回収させる手段として、微生物が注目されています。そこで培養中の微細藻類へ金属(Cu,Zn,Fe等)を添加し成長阻害の影響や金属除去の挙動調査も行っています。

 

 

 

研究内容

 

糖分離膜の能動輸送系への応用

糖の能動輸送系の確立は医学、生理学における糖タンパク質、核タンパク質などにとどまらず廃液からの有用成分の回収にまで様々な分野で役立つと考えられます。また、バイオテクノロジーの発展に伴うバイオプロダクツ(微生物や水溶性タンパク質)の処理問題にも応用できるでしょう。
この研究では、ジオール類に高い反応性を示すフェニルホウ酸という物質を主体とした膜の調製から糖の選択分離のための条件構築を目的としています。

フェニルホウ酸は特に高pH条件下でエステル縮合反応が促進されます。

 

 

 

この物質を膜内に存在させることによって、糖の認識能をもつ高分子膜の調製を試みています。作製した膜をPMMA製のセル間に挟んで各相の条件を変化させていくことで糖の膜透過の状況を把握しようというものです。
現在のところ、膜内にアニオン化したフェニルホウ酸-糖錯体を四級アンモニウム塩のカチオンで安定化させた対イオンとして存在させることで、効率よく糖の膜透過を行うことに成功しました。

 

 

フェニルホウ酸のpHに対する可逆応答性を利用し、高pH側で糖を捕らえ、低pH側で捕らえた糖を放出するという一連の反応を膜条件によって組み合わせたのです。これにより困難であった能動輸送系へのシステムの応用につなげました。 今後もこの基礎研究をもとに、実用化へ向けた膜系の確立を目指します。

 

有機溶媒耐性菌を用いた新規乳酸発酵プロセス

従来用いられて来た汎用性石油系プラスチックは、廃棄の際に発生する温室効果ガスや石油の枯渇が大きな問題となっている。そこで近年、とうもろこし、キャッサバなどのでんぷんから作られる生分解性循環系プラスチックが注目を浴びている。これは廃棄後、微生物により水と二酸化炭素に分解され、それらは再び光合成により植物に取り入れられるため、環境への負荷が少ない。
生分解性プラスチックは、大きく微生物産生系、化学合成系、天然物系の三つに分類されるが、その中でも特に、化学合成系のポリ乳酸は、他の生分解性プラスチックに比べ優れた透明性、剛性を持ち、様々な成形加工が可能であるために、車体などにおいて幅広く用いられている。ポリ乳酸は光学活性な乳酸からしか合成出来ないという事と、D体よりもL体から合成されたポリ乳酸の方が、その透明性などの点で優れているという事から、現在では、従来の化学合成法ではなく、植物を原料とした微生物発酵により、光学活性な乳酸(L-乳酸)が生産されている。この微生物発酵において乳酸菌が用いられているが、乳酸菌は、乳酸抽出剤などの有機溶媒に耐性がない、栄養要求性が非常に高いなどの問題がある。
そこで当研究室では、栄養要求性が低く、有機溶媒にも耐性を持つBacillus属菌体に注目し、スクリーニングにより得たトルエン耐性B.thuringiensis G11菌によって、新規な乳酸発酵プロセスの構築を行う。

 

 

 

木質系廃棄物へのバイオ生産物の吸着分離

糖は、生体の構成成分や生命のエネルギー源となるだけでなく、生体内ではタンパク質などと結びついて免疫反応や細胞間の情報伝達に関与するなど非常に重要な物質であります。したがって、糖の分離システムの確立は、食品や医薬品への応用、廃液からの回収、廃液処理への応用など多くの分野で役立つと考えられます。また、近年のバイオテクノロジーの著しい発展に伴って、アミノ酸やタンパク質などのバイオ生産物の需要は大きく増加しており、バイオ生産物の新規分離回収プロセスの確立が必要とされています。
このような糖やバイオ生産物の分離プロセスとしては、低コストで環境に悪影響を及ぼさないものが最適であると思われます。そこで、本来ならば廃材として扱われる竹やカラマツなどの木質の粉末を用いて糖やバイオ生産物を吸着分離する研究を進めています。

 

 

エポキシ分解微生物産生酵素によるエポキシドの光学分割

薬学、有機合成化学において光学活性なエポキシドはその反応性の高さから反応中間生成物として得に有用な化学物質であることが知られています。この光学活性なエポキシドの一般的な合成方法はアルケンからの重金属触媒を用いた直接エポキシ化が用いられています。しかし、この合成方法では反応条件が高温高圧と調節が難しく、また重金属の環境への影響が危惧されています。そこで新規の光学活性エポキシドの生成方法として、微生物産生酵素によるエポキシド加水分解酵素のエナンチオ選択性を利用したラセミ体エポキシドからの光学分割法に注目し、研究を進めています。

 

Rhodotorla glutinis
(R/S)-1,2-epoxyhexane   (S)-1,2-epoxyhexane
 
    (R)-1,2-hexanediol